とにかく秋の爆釣シーズンが到来していますので、王道スタイルアングラーのみなさまにおかれましては全国各地で大活躍してくれていることと存じます。^^
秋は「積立算のシーズン」ですので、とにかくあらゆるタイプのルアーで釣っておきましょう。
でも釣れるからといって、同じルアーばかり使っていては、いくらたっても積立算になったり駒が増えるってことになったりは、はい、なりませんから、
できるだけいままで釣ったことのないルアーにも手を出しておきましょう。^^;
もちろん、真剣なロッドワークアングラー様でもエルモスタイル導入後1年以内のみなさまは、
「ラトリンログARBだけで、とにかく100尾!」という縛りも最高だと思います!!^^
この1週間はみなさまのお邪魔をするのがご迷惑だと考え、タイムリーに記事をアップできていませんが、^^;
明日からはガンガン、全国各地の王道アングラーのみなさまにご登場いただきますので、どうか気長にお付き合いくださいませ。(汗)
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今流行しているものはすべて無視し、忘れるようにした方がいい。
ボブ・ディラン
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個人的には、「ラトリンログARB縛り!」をやっている人はめちゃくちゃいいと思いますよ!! 心から!!
だって、最初に、一度覚悟を決めたはずでしょ、エルモジャーキング道場入門時には?!
ってことは??
はい、ボブディランも言ってますね、
「Don't think twice, it's all right !!」
もう二度と考えるこたあない! 大丈夫だよ!
自分を信じてロッドワークと向き合っていきましょうね!!^^
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へたりこんで悩んだりすることはないさ
たいしたことじゃない
へたりこんで悩んだりすることはないさ
この期に及んでわかっていないようならね
夜明けに雄鶏が鳴くころ
窓の外を見てご覧
僕が出てゆく姿が見えるだろう
僕が旅をする理由を
きみは知っているから
もうこれ以上考えない
どうってことじゃないさ
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ここでフィッシングエルモ入荷情報~~~!!
すべて~~~、ほっかほか2013 SUPER NEW ===!!
新製品の「スミスウィックメッシュキャップ」が入荷しておりますよ=====!!!
カラーは、RED系ダメージ、とグリーン系ダメージの2色です。
やはり王道アングラーのみなさまには大好評で、今実店舗でとてもよく売れています。
興味がございましたら、コチラからよろしくお願いします。^^
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それと~~~、お馬さんロゴがかっこよすぎる~~~、
「スミスウィックTシャツ」も=====!!
今回はMサイズのみですが、
カラーは2色、黒と白が入荷しましたあ=====!!!
(注 Sサイズは1か月以内に入荷する予定です。 Lサイズは大きすぎますので仕入れないと思います...^^;)
コチラからどうぞ!^^
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ど定番の「ラトリンログARB」は足りていますか??
クラウンカラーが今なら結構ありますよ~~~!!^^
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最後に~~~、ノリーズから抜群の~~~、
ナント~~~、キャスティンググローブが入荷しましたあ=====!!
素肌感覚に近いフィット感を実現したゲームフィッシンググローブ。掌側には、強度・フィット感に優れた薄手の合成皮革を採用。素肌感覚に近いキャストフィール、感度、快適さを実現しました。ナックル部に伸縮素材を使用することで、ロッドを握ったときに生地がひかれる感覚を最小限に抑えました。
一度在庫がなくなると、おそらく1年先の秋の再入荷まで待つ破目になっちゃいそうですので、
興味がございましたら、お早目によろしくお願いします。
弊店はネイビーカラーのみ仕入れました。^^
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さあみなさん、過ごしやすく、釣りもしやすい、最高のシーズンです!!
いい釣りできたら、ご一報を!!
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最後に過去記事です。^^;
2011/10/27
フィッシングエルモ小話 「覚悟はあるか?」 その1 【フィッシングエルモ・オリジナルDVD第4弾】 順調に撮影続行中!乞う、ご期待! 『今からでも、「真のテクニック”ジャーキング”」にトライしてみませんか?!』 ご新規の熱いアングラーの皆様、まずは第1弾と第2弾からどうぞ!地に足つけて、少なくとも1~2年はかけましょう! の巻。
「ふぅ、今日もダメだったな.......」
桟橋に着いて、たった1セットしか積んでいなかったタックルに目をやりながら、そんな言葉がぽとりと落ちてきた。今日で連続5日目のぼうずだ。
重いバッテリーが視界の隅に入ってくる。心なしか気持ちも足取りも重たくなった気がする。
やれやれ、片づけか。 ボート屋のおやじとお決まりの挨拶を交わし、少しばかり離れたところに停まっている車へと足を向ける。
とぼとぼ歩きながらも、「覚悟はあるか?」 ゴールデンレトリバー2頭と暮らす男の投げかけてきた問いが、頭の中で何度もリフレインされ鳴っている。
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4月の転勤後から仕事が忙しすぎてなかなか取れなかった夏休みを10月末になってからようやく取ることができた。
どうせ独身だし一人暮らしだしということで、どこに行っても人でごった返しているお盆休みにはわざと休暇を取ることはせず、自分なりには休みなしで頑張ってきた仕事だったが、そろそろ限界だった。
なにかにとりつかれたように休日返上で仕事しかしてこなかった数か月だった。
なにせ8月以降、3カ月近くも休みを一日たりとも取らなかったことは、学校を卒業してから15年来初めてのことで、体力的にも精神的にもきつく、まさしく悲鳴をあげる寸前だった。
社内では”大先生”とよばれる悪名高き新しい直属の上司に悩まされるし、
一歩営業で外界へ出れば、一癖も二癖もある百戦錬磨の関西商人が相手だ。
まるでサバンナでジャッカルやハイエナに襲いかかられるような感覚になってしまう。
つまり、新しい職場の人間関係を再構築し、関西という土地柄にも関西弁に慣れていくにも、俺には時間がかかったわけだ。だからがむしゃらに働いた。
しかも俺には、あまり思い出したくもないことだが、転勤を機に私生活でも青天霹靂のとんでもないことが起こった。
詳細はあえて割愛するが、付き合いだして4年、そろそろと考えていた矢先に、突然彼女に振られたのだ。
笑えるかもしれないが、関西への出発寸前、ロマンティックにも新幹線のホームの上でだ。
今思い返しても何が何だかわからない。
俺としては、彼女の生まれ故郷の関西への転勤だから、当然ついてきてくれるものと思い込んでいたのだが、そうは問屋が卸さなかった。
いや、問屋だけでなく、メーカーからも、小売店からも、すべてから一斉に手を引かれたかのような、
俺が通りを歩いて近づいていくだけで、いきなりすべてのシャッターがガラガラと閉められたかのような感覚といったらいいだろうか、
一瞬にして天地が逆転してしまった。
ひとりぼっちに取り残された俺は足も地に着かず、実際に新幹線の中では、どうしてなんだ、ということ以外なにも考えることができなかった。
今思い返してみれば、彼女のやわらかくてあたたかい関西弁が、その時だけどこかの国の国営放送のアナウンサーのように機械的に鳴り響いていた感覚だけが残っているのだが。
「俺のこと好きか?」
「そんなことさえ、わからんようになったん.......」
ホーム上での最後の会話だった。
いずれにせよ、覚悟ができていない内に、とんでもないことは起きる。
俺はひとつ教訓を得た。
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(次回へと続く)
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というわけで、私生活でもぼろぼろで、仕事面でもツキに見放されつつあった俺は、だからこそ、ここが正念場とばかりに、自分の持っているありったけの力で仕事にぶつかっていった。全身全霊をかけて、くさい言葉だが、死ぬ気で頑張った。
慣れない新しい環境に適応していくのに必死だった。
「水温がね、1度変わっただけでも凄い変化なんだよ、バスにとっては。
人間みたいに服を着れないからな。
水深がね、5CM変われば別世界なんだよ。」
営業途中でたまたま寄った小さくて汚い釣具店主に、オリジナルバズベイトというルアーを無理やり買わされた時の会話がふと頭に浮かぶ。
「人間だって必死なんですよ。」心の中でそうつぶき返したのを思い出す。
さておき、そのかいあって、自慢じゃないが、営業成績も転勤3カ月目から、それまで不動のエースとよばれていた奴を抜いて、いきなりトップに躍り出た。
「えぇ、そうなの?」成績などいっさい考えの範疇に入れてこなかった俺は(それどころじゃなかった。ただ現実逃避のために仕事に逃げていただけだったが)、
朝礼の際の表彰で、ぶっきらぼうにそうつぶやき、嬉しくもなんともないといった感じだったのだろう。それがいけなかった。
”かわいげのない奴だな。” そう映ったに違いない。
同じ課内の奴等には、期待もしていないが案の定認められなかったうえに、それがきっかけになり敵意みたいなものがはっきりと芽生えた。
俺が話しかけても透明人間の如く無視するようになるし、
そればかりか、俺を変わり者呼ばわりし、大人しくしているのをいいことに、陰口をたたくだけでは飽き足らず、露骨に嫌がらせをしてきた。
出る杭は打たれるとはよく言ったもんだが、そんなことなら事前から予想はできた。
だから、それなら打たれないくらいにもっと高く出てやろう、そういう心意気で、それからも3か月というもの休みも取らず、我慢に我慢を重ねてきた俺だったが、
とうとう先週の金曜日の真昼間にぶち切れてしまったわけだ。
いや、まるで白昼夢を見るかの如く、というわけではけっしてなく、
冷静なもう一人の自分が「そこまでやられたら怒っていいんだよ。さあ」と後押ししてくれて、
「そっ、そうだよな」と確かめてからようやく腰を上げた感じの怒りであった。
そもそもは、何カ月もかけてようやく契約を取り付けることができた新規の大型受注さえも、その手柄を横取りされたのが発端だった。
「パクられた!」 その事実が、俺の導火線に一気に火を点けてしまったのだ!
いや、一気にというのは嘘だ。そんな劇的ではない。人一倍ボーッとしている俺には似つかわしくない。できるはずもない。
「ここまでされて黙っているんですか?
それでも男ですか?
自分の引けない一線を超えられたんじゃないですか?
土足で大切なところへと踏み込まれたんじゃないですか?
パクられたんですよ?」
恥ずかしいが、もう一人の冷静な自分がそう促してくれたからこそ、やっと動けただけにすぎない。
それでも、俺はやる時はやる。
そう思う。
ことにする。
無理をしてかどうかはわからないが、とにかく演技に集中する。一世一代の演技だ。
突然ガタンと大きな物音をたてて立ち上がった俺は、俺を見ながらニヤニヤとひそひそ話をしていた課内の全員を睨め回し、
ちゃぶ台返しよろしく、デスクの上にあったものともども床にぶちまける。
ガチャーン、ドスーン。
”おおっ、なんだか気持ちいいぞ。”
あっけにとられている視線をよそに、目に留まった表彰状をこれ見よがしに破り捨てる。
最後に一番の権力者であるあいつを睨みつけながら、怒鳴り散らしていた。
「なにが大先生だよ!
お前、知ってんのかよ、みんなから先生って呼ばれて恥ずかしくないのかよ!
しかも、”大”がついてんだぜ!
裸の王様って言われるのと同じだぜ!
馬鹿な王様って!
いいか、先生って呼ばれ続けるとな、人間は腐っていくんだよ!
国会議員でも弁護士でもなんでもな!」
べつに彼自身への恨みはたいしてなかったが、というより彼を盲信している部下に腹を立てていただけだったのだが、口からいったん出てしまったことは取り返しがつかない。覆水盆に返らずだ。
だから、その日のうちにすぐに1カ月以上もの長期休暇を申し出た。 残っているだけの有給休暇を申請してやった。 これからどうなろうと知ったこっちゃない。
ただ俺はここでもひとつの教訓を得た。
覚悟がないと権力者には暴言は吐けない。
「覚悟はあるよ。」
数日前の出来事を思い出しながら、ゴールデンレトリバー2頭と暮らす男に心の中で返事をする。
それにしてもいい演技だった。
と俺は思う。
ことにする。
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なにをするわけでもなく、ただ棒のようにして眠る2日間が過ぎると、ふと昔夢中になっていたバスフィッシングをやろうと思いついた。
関西に引っ越してくる前は夢中だったのだが、もう1年以上はやっていないだろうか、遠い昔に感じてしまう。
気がつくと、営業途中で幾度か道草したことのある汚くて小さな釣具店へと向かっていた。小腹がすいたので途中、好物の明石焼きを頬張る。午後3時になっていた。
釣具店に足を踏み入れても、いらっしゃいませの言葉すらない。
2頭のゴールデンレトリバーに大歓迎されるだけだ。しっぽをぶんぶん振りながらやってきて、コテン、いきなり腹を見せて甘えてくる。
2頭を同時に撫でながら、「なにか面白いの、ありますかね?」と店長らしき男に尋ねてみる。
大雑把な質問であったからか、すぐには返事はかえってこない。
沈黙がしばらく続く。 居心地が悪い。
質問をもっと具体的なものに変えようかと、客商売のくせにやけに気を使わせすぎることに半ばあきれながらも、次の質問を口にしようとしたところで、
唐突にもその男の方の口が開いた。
昼下がりの店内のほのぼのとした雰囲気にまったく似つかわしくないその言葉が、俺に突き刺さる。
あまりにも場違いであるその言葉が、他に誰も客がいないと判断する間髪も置かず、
俺の胸の中へと飛び込んでくる。
「覚悟はあるか?」
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店内には、ザ・ローリング・ストーンズの「イッツ・オンリー・ロックンロール」が流れていた。
「♪ 俺が心臓にペンを突き刺して
♪ 血を全部ステージにぶちまけたら
♪ それでお前は満足できるかい?
♪ ああ知ってるよ たかがロックンロールだよ
♪ されど 俺は大好きなんだ」
ミックジャガーはさらに歌い続ける。
「♪ なあ わからないのか?
♪ この年老いた少年が ますます孤独だってのが?」
”あんたも孤独なのか?” 思わずそう呟きそうになるが、
店の偏った品揃えをかんがみるに、さもありなんと気づき、苦笑いしかできない。
店主らしき男も苦笑いを返してくれた。
”そんなに覚悟がいるものなのか?バスフィッシング?”
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次回へと続く
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最初はルアーをひとつふたつ買って帰ろうと考えて入店しただけの俺だったが、結局その汚くて小さい店で5時間も過ごしてしまった。
つまり、蛍の光が流れる午後8時の閉店になってようやく店を後にしたのだ。
もちろん実際には蛍の光がかかることはなく、店内ではロックンロールやブルースが魂の叫びの如く、流され続けていたが、
当初危惧していた居心地の悪さは、俺にとっていつしか心地良すぎるものへと変わっていった。
なにより、店長らしき男が唾を飛ばしながら一生懸命説明してくれた
「糸フケテーパーとか糸張りテーパーとかいうロッドに関する話」は、
俺にとって天動説が地動説に取って代わったくらいの驚きであったし、
まるで夏の夜に電燈に群がってくる羽虫のように、夕方から続々と集まってくる店の常連の客達の話が、
ひと癖もふた癖もある奴等なのだが、めちゃくちゃ面白かった。そして熱かった。
一例を挙げただけでも、今をときめくA〇Bというアイドルに夢中の危なすぎる40歳代の男やら、クーラーのついていない車で夏でも寝泊まりして釣りをするストイックすぎる男、毎朝晩出勤の前後に釣りまくる渋い男、モヒカンの怪力でワイヤーベイトを根気よく自作し釣りまくる男など、個性豊かな面々が集まっていた。
口車に乗せられるかっこうで、気づいてみれば、
ロッドとリールを1セットに、
ラトリンログという、たった1種類のルアーを10ケ近く、
それに「フィッシングエルモ・オリジナルDVD」という、
いかにも好き者の手作りといった映像ソフトを手にして家路についていた。
で、その翌日からジャーキングという、
彼らに言わせれば「真のテクニック」をマスターしようとこの湖にきて、
今日で5日目が終わるところだった。
「覚悟はあるか?」
果たして、5日連続のぼうずだった。
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疲れた足取りで車に乗り込み、片づけをしに桟橋の方へと向かう。
ふとカーラジオに耳を傾ければ、偶然にも、思い出したくもない歌がぐっと胸を締めつけてくる。
「あっ、この歌詞... あのときの俺、そのまんまじゃん... 」
忘れたい嫌な気持ちが再び蘇る。 新幹線のホーム上の悲しき別れの場面が頭の中ですうっと浮かぶ。
日も沈みかけ一面が濃い色に塗りつぶされそうな中、桟橋の電灯だけが滲んでいる。
”滲む街の灯を~~ ふたり見ていた~~ 桟橋に停めた~~ 車にもたれて~~”
たしか上田正樹という歌手の昔のヒット曲だ。
聞くとはなしに車のドアを開け、ラインにラトリンログのついた、たったひとつのタックルをトランクへと積み込む。
そこで突然、少しばかり離れた傍にたたずんでいた褐色の肌をした、スリムだが筋肉質の若い男に声をかけられた。
同じく片づけをしていて、同じチャンネルにカーラジオを合わせていたのだろうか、
”泣いたらあかん 泣いたら~~ せつなく~~ なるだけ~~”と曲の続きを歌いながらやってきた彼は、
「どうでした? 釣れましたか? それにしても、ええ歌ですよね、いつ聴いても。 」そう聞いてきた。
”ええぇ?いつの間に?忍者みたいだな” 音もなく近づいてきた魔術師めいた軽やかな身のこなしにドギマギする。
その瞬間、返り見た顔に釘付けになった俺は、あまりの偶然に凍りついた。
5日間も釣れない自身の技術の未熟さを揶揄されたかのようなうろたえぶりだったにちがいない。
泣き出しそうになりながらも、屈託ない彼の笑顔を見ながら、「あっ、あのDVDの?!」と思わず零れる。
「ああ~~、ご覧いただいてたんですね。お恥ずかしい。はい、フィッシングエルモプロスタッフの岩橋です。はじめまして。」
なぜか標準語だ。関西弁ではない。堂に入っている。
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秋が深まってきた暮れかけの湖の水を見ながら彼は話しかけてくる。
「それにしても、秋らしいといったらそれまでだけど、悲しい色やね、この水...」
「プッ、今日もぼうずでしたよ...」
思わず噴き出しながら、そう答えると少しは気が楽になった。
「今日はジャークベイトで5尾くらい釣ったんですけど、ちょっと難しかったですね。」
「えぇ?! マジですか?!」
それからは楽しい会話が途切れる間もなく続いた。
「ちょっと引っ張りすぎだよ。」とか、そんな技術的なことだけではなく、
「どうしてジャーキングなのか?」といった、彼が覚悟を持って実践しているロッドワークに関する精神論にまで議論が及ぶのが新鮮だった。
そしてなにより、真っ暗になりかけの中でも、ジャーキングのお手本を披露してくれたのは大収穫だった。
本当に魔術師さながらのロッドワークには目を剥いた。同じ人間の繰り出す技とは思えなかった。
「ええぇ~~、ちょっと、もうちょっとゆっくりロッドを振って下さいよ!振り幅はいったい?!」という俺の無理な注文に、
「それは見ても無駄ですよ。正解はルアーの動きにありますから。」としれっと大事なことを言って、爽やかに笑う。
ちょっと喋っただけですっかり意気投合し、
しまいには「あの〇〇〇〇〇〇〇って国産ミノーあるでしょ、あれはロングAのパクリだから。」とか、
知ってか知らずか、パクリがけっして許せない俺の性分にぴったりはまる。
”なんでパクリがきらいってわかるんだろ? 類は友を呼ぶってことか?” まるで幼なじみと話しているような錯覚を憶える。
「飯でも食おう!酒でも飲もう!」ということになり、
どうせならと、彼に再びゴールデンレトリバー2頭と暮らす男のところまで引っ張っていかれることになった。
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次回へ続く
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「乾杯!」
店長らしき男が贔屓にしている穴場のステーキ屋の神戸牛に舌鼓を打ちながら、話は多岐に及んだ。
気分はますます乗ってくる。
”ここ数カ月まともに人と会話したことがなかったからか? うれしいのか、俺?” 苦笑いを噛みしめる。
「ほお~~、そんな偶然があるもんやねんな!
それにしても5日間かあ~~。そんなに釣れないと泣きたくなってたんちゃう?
でもな、それでええねんで。 その方がええ。
最初の1尾まで時間が掛った人の方が、ずっと上手くなるから。」
偶然の湖上での出会いが(正確には桟橋付近の地上だが)、笑い話のように語られる。
となると自然に先程の昔のヒット曲の話が蒸し返される。
というか、自分から蒸し返す。
今まで生きてきて学んだ教訓のひとつだ。つらいことこそ笑っちゃえ、だったかな。
よしっ、と意気込むが、俺にとってはショパンの別れの曲みたいなものか?あの曲が?柄にもなくどうでもいいことをふと考えてしまう。
自分がショパンを知っていることに驚く。もちろん別れの曲がどれなのかは知らない。やれやれ。心ここにあらずだ。
”あかん、あかん、笑いだ、笑い。ここは関西だろ!” 新米の浅草芸人が初めて関西の舞台を踏む時さながらの気合いでぶつかっていく。
「上田正樹の”悲しい色やね”を、歌いながら近づいて来られたから、泣きだしたくなりましたよ~~~。
5日連続ぼうず街道まっしぐらの俺ですからね。
バイトもいっさい、追いかけてくる魚も全くなしですよ。
泣いたらアカンって言われてもねえ~~~...」と俺。
「それは深読みしすぎですよ。勘弁して下さいよ。」と笑いながら岩橋さん。
「このこんがり焼かれたにんにくがね、いけるやろ?!」 元気を出せといわんばかりに店長がすすめてくれる。
「あっ、ほんとだ!うまい!うますぎる!」 山盛りに盛られたにんにくをつまみながら本当にびっくりする。
翌日の口臭がちょっぴり気になるが、これは癖になる味だ。う~~ん、たしかに。
”いや、どうせ俺には彼女もいないし、仕事もどうなるかわからない。
明日もたいして誰とも会わず釣りをするだけであろうに、なんで口臭なんて気にする?
馬鹿みたいだ。それほどショッキングだったってこと?”
「ステーキ屋で肉にばかり気を取られる奴おるやんか、ありゃあかんわ。
見えバスしか気にしてない奴と一緒やで。
にんにくの凄さに一生気づかん奴やで。」
店長が難しいことを、いや意味不明のことを言っている。
「単ににんにくを焼くだけだけど、この味が家庭では絶対に出せないんですよね。
無理なんですよ。
単純なことほど難しい。簡単なことほど大切。
ロッドワーク、ジャーキングも同じですよ。」
なんだかまたもやしれっと大切なことを伝えてきたかのような岩橋さんに、
店長が「そうだな。」と同意している。
”なんなんだ、この二人。 冗談なのか本気なのかわからない。
これって関西風ジョーク? ツッコミしなけりゃマズイ?”
ますます俺の頭の中は混乱する。心はまたもやふわっと別のところへ飛んでいくかのようだ。
”まあ、たしかに思い出すのさえつらいが、仕方がない。 実際に起きてしまったことだ。
覆水盆に返らずって自分で言ってたじゃないか、仕事のことは。
なのにどうしてあのことだけは.......”
くよくよしている自分が恥ずかしすぎて、ここではけっして口に出せないが、釣りではなく半年ほど前の新幹線のホーム上でのショッキングな出来事が頭から離れない.......
完全に仕事のことは忘却の彼方だけど.......
あのロマンチックでもなんでもない別れの場面が思い出したくもないのに、どっと無理やりにも俺の心の扉をこじ開け押し寄せてくる.......
話題はまたあの曲の話に戻っている。
「ああ~、たしかに、上田正樹の声は味があってええなあ。 ブルースがきっちり入ってる。 いい曲だ。」と全員が声を合わせる。
「やっぱ魂がこもってないと、ブルースがわからんと、あかんですよね!」と、個人的ないきさつから、どうしてもその曲を好きになれない俺までも、ぎこちない関西弁でそう言っている。
自分が案外調子がいいことに初めて気づく。何年ぶりだろう、こんな感覚。
関西人にとっては特別な曲、大切な曲だとは、まだ関東住まいだったころ嫌というほど関西人の同僚から聞いていたことを思い出す。
関西人にとっての常識を覆すなんてとんでもない。そんなことはけっして許されない。
一旦口に出した途端、良好な関係がすぐに壊れる。 すべてが敵に早変わりする。
”変身~~!”というくらいに。
四面楚歌になった会社での嫌な一件がふとよぎった俺は、忘却の彼方じゃなかったのかよと戸惑いながらも、口にしっかりとチャックを締め直す。けっして口を滑らせてはならない。
すると店長が思い出したように大声を上げた。
「あかん、あかん! 絶対にあかん!
たしかに彼はいいシンガーやと思うで。魂が入ってるもんな。
けどな、あれって完璧なパクリやで!
彼は悪くないけど、作曲したと言い張る奴はかなり痛いで...
だってな、日本でヒットする10年くらい前に出ていた、”スカイラークってバンドのワイルドフラワー”って曲と、まったく一緒やから.......
今のご時世やったら、違う意味でパクられちゃうかもな.......」
「ええぇ~~~!! そうだったんですか!!」
「今度、動画見せて説明するわ。
でも、まあ、ええ歌詞やな。 逃げたらあかん、逃げたら。 ってところが。
曲はパクリやけど歌詞と歌手は許せる。
かな?! せやな?! どない?!」
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後から聞くところによると、なんだか馬鹿らしくなった俺は、さんざん酔いつぶれ、
「ちくしょう、パクリの大先生め~~」と、うわ言を言い続けていたそうだ。
「悲しみをみんながですね、あの湖に捨てに来るから、それで水が悪いんですよ。だから釣れないんですよ。」と意味不明のセリフを繰り返していたそうだ.......
迷惑にもいくらうながされても席を立たず、深夜まで飲み続け、まるで駄々っ子のようだった。
らしい。
「そうだよな。それじゃあ釣れないよな。お前のせいじゃないよな。」 初対面の岩橋さんがそんな相槌を打ちながら、親切にも介抱してくれたそうだ。涙が出るほどありがたかった。
あのステーキ屋の大将には次に行った時に謝罪するつもりだ。
で、その翌日も、その翌々日の今日も、同じ湖でボートを出した。
もちろん1タックルしか積んでいない。
昨日はボート屋の親父に挨拶すると、「朝から餃子でも食べてきたんですか?」とつっこまれ、”すまない”と呟きながら出船した。
3人ともとんでもない息なのだろうと想像するとちょっと笑えた。
そして今日初めて、「ラトリンログ」でバスを釣ることができた。
サイズこそたいしたものじゃなかったが、俺の繰り出すロッドワークに反応してくれて、ルアーめがけて何尾も浮いてきたのだ。バイトの瞬間まで丸見えだった。
7日目の奇跡だった。
嬉しすぎて店長と岩橋氏の両方に思わず電話で報告したくらいだ。
まるでスローモーションのように脳裏に焼き付いている。
また、なによりも驚いたことだが、その瞬間から、まるで霧が晴れたように嫌なことをいっさい、きれいさっぱり忘れ去ることができた。
俺はなんだか生まれ変わったみたいだ。
今日も俺はひとつ教訓を得た。
覚悟があれば奇跡が起こせる!
そしてしみじみと、バスフィッシングって素晴らしい、心からそう思った。
(おわり)
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拙ブログをいつも応援していただいている全てのアングラーに心より捧げます。
全国各地で、エルモスタイルを孤高にも実践してくれて、いつも本当にありがとうございます。
遠くで頑張っていらっしゃるアングラーの皆様、けっして孤独ではないです。
ここに仲間がたくさんいますので、どうか末長くお付き合いください。
そのことを伝えるためにも、お礼の気持ちを込めまして、
いつもとは少しばかり趣向を変えまして、拙い長すぎる小話を書かせていただきました。(汗)
どうかお目汚し、お許しくださいませ。^^;
貴殿たちの熱きスピリットこそが本当にかけがえのない宝物です。
お元気でいらっしゃいますか?
お仕事は順調ですか?
お一人お一人にお聞きしたいことは山ほどありますが、
これから寒くなりますのでくれぐれもご自愛くださいという言葉に代えて筆を置かせていただきますね。